生息地から見ての順応性
当サイトで扱う取り上げている蛇達の中には中国や台湾や日本を始めとする温帯域に生息している蛇であり、これらの蛇を飼育していて日本に逃がしたり捨てたりすると、環境破壊になる恐れがある。

既に沖縄では皮を使用するために移入されたとされるタイワンスジオが帰化しており、この蛇は環境庁の定める法案で特定外来動物にしていされてしまった。(他の基亜種や亜種は未判定動物)

これ以上、こういった動物を増やしてはいけない。野にはなったら冬眠して帰化してしまうこともあるのだ!と言うことを飼う前に頭に入れてもらいたいと思う。

また、日本人は飼育を遺棄する際に非常に綺麗な言葉を用いて美徳化してしまう風習(?)がある。

例えばミドリガメ(ミシシッピーアカミミガメ)を例にとると「こんな狭い所に居るよりももっと広いお池で泳ぎたいわよね。野性に返してあげましょう」・・・・。

野性に返してあげましょう?・・・勘違いしないで貰いたいのはこれは遺棄であり、生物の野生復帰ではないと言うことです。

野生に返すと言うことは、その動物が本来居た場所に寸部の狂いも無くその動物を返してやることで、つまりWCの採集個体か、純潔のそこのペアから生まれた子供・孫・ひ孫・玄孫(やしゃご)・・を放さなければならず、どっかの産地の個体との間に出来た個体の家系や他産地の個体等が混ざっている等のCB個体は放せない訳なのです。

何故なら、その土地ではその土地の環境があり、環境変化の影響を受けやすい爬虫類はそこで生き残る為の独自の進化を個体群の中と言うレベルでもしてきたからです。

当然遺伝子レベルの話でも違う訳で、それを他産地に放ってしまうと、そこで交配してしまい、遺伝子の混ざった固体が生まれ、環境に対応できずに滅びてしまうか、逆に他の個体を滅ぼしてしまうか・・そうなる訳です。

また、そこの産地の純粋な家系であっても、他の産地の居る個体が飼われている部屋で飼われていたり、雑居飼育していた場合に人間には移らないけど爬虫類間で移る病気に感染してキャリア(発症していないけども病気の菌を所有した個体)となり、になり、それが野生に放たれた途端に発病して媒介し、そこの産地の個体を滅ぼす要因になったりする事もあるそうで、これらの事から飼育管理をされた個体は野生に返すなどと言う名目で捨てないで欲しいと強く主張したい。と言うよりも野生には二度と帰れないのであると言う意識を持ち、天寿を全うするまで飼育管理するのが飼育者の務めだと言える。

また野生復帰とは本来、個体を野生に放り出すような単純な物ではなく、野性に返る為の専門的なトレーニングや検疫等を受けて初めて成せる者であり、専門的な技術や知識などが必要となる。

爬虫類の場合はたとえ慣れても人間にこびないので放り出しても生きていけるが、単純に楽な場所に放せば良いと言う物ではない事を記したい。


それでもどうしても家庭事情などで飼えなくなったならば、獣医に相談するか、ペットショップに引き取って貰うように頼むか、PC持っている人間はオークション使って里親を探すか、携帯しかない人はPCを持っている人間にオークションに出展してくれるように頼み込むか、身近に爬虫類愛好家が居たらその個体を頼むか、そこで駄目ならその愛好家のネットワークに頼るか・・・探せばいくらでも方法はある。

また、自分で採集してきたWC個体に限定の方法としては寸部の狂いも無くその地域に遺棄しに行くか・・・・。

お店で購入した個体や貰い受けた個体、CB等は野生に返せないので最悪は殺処分・・・。それは最終のそのまた最終手段であるから軽々しく行わないように。

学者の中にはそれを進化だとし、弱い個体群は滅びれば良い。

属が違うのに子供が出来る訳が無く、出来てそれが繁栄した場合は学者の分類が間違っているだけだ!と言う方も居られ、この手の人は、要するに環境が再構築されて新しい環境が生まれるのだ、それをどうこうするのは人のエゴだと言う意見だと筆者は考える訳で・・一理あるのですが、どうも僕は心の奥で納得がいかないのです。

多分、それは何で人が好き勝手に環境を再構築しなければいけないのか?今までどんだけの年数をかけて今の自然が出来上がったと思っているのか?その為にどれだけの種や個体群が滅びたのか・・・そういう経緯を無視して良いのか?等難しい問題をはらむ訳です。

点は以下の通りとなります。

外来種による環境の直接的な駆逐活動
例、ミドリガメがイシガメやクサガメの卵を食べたり、餌を独り占めして、クサガメ等を追いやる。

亜種間での混雑問題
大陸のクサガメと日本のクサガメの混雑問題等、近い種類での交配によって、その土地独自の進化を遂げた生態や形状を崩してしまう事。

クワガタで今大問題になっていますよね?
遺伝子レベルで考えた場合、それが変わることによって、今まで耐えることの出来た環境で死滅したり、逆により強い生物になって他の動物に何らかの影響(例:気が弱かったクワガタが雑種になって気が荒くなり、今までそこで幅を利かせていた動物を絶滅に追いやる等)を与えてしまうことにより微細なバランスを崩す要因になりうること。

同様の理由で、A県で採集した個体を、その飼育者に地元のB県に放つとか、昔は近所にヒバカリが居たが、今は絶滅したようだ。

じゃぁ、C県産のヒバカリを大量に放そう・・とか・・・これは環境破壊以外の何物でもないのでやるべきではない。

大体、絶滅と言うのは定義が過去50年の間にその個体の糞や毛、生体等の発見例が一切無い場合に初めて絶滅となる。

発見されたら絶滅危惧種となる訳だ。だから一個人で勝手に判断するのはどうかと思う。ちなみに、全部の動物に言えることである。カタツムリやサンショウオだと移動能力が無いので山ひとつでその差が顕著となる。絶対に軽々しく放すべきではない。

その生態系に無かった病気の媒介による個体群の減少・絶滅
先述した通りである。一部屋での多数の個体を管理しているうちにキャリアになり、野に放った場合にそれが伝染して未知の病気により生物が死滅したり減少したりする恐れがあるので野に放つべきではない。

最後に・・・・くどいくらい繰り返してますが、生態系は本当に微細なバランスで成り立っています。

そのバランスは例えば空き地を例にとると、去年には沢山居たカナヘビが今年は全く居なくなった。虫の数も減ってないようだし草も生い茂っているのに・・・と言うレベルで物凄いデリケートな物です。

エゴでしょうが、飼育する人間の一人一人の意識の問題であり、確かに僕がここでこれを声を大にして叫んで、これを実行して(筆者は勿論野に捨てたりしないですよ)も小さな力でしょう。しかし、飼育者がそれぞれしっかり自覚を持っていけば事態は変わってくるのです。

勿論全部が一気に変わるなどと言うこと自体まずあり得ませんが、問題点の本質は実に単純で、人の意識と実行力の有無だと思うのです。

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