冬眠について
寒くなってくると「うちのトカゲが餌を食べません。」とか「うちの家の亀が餌を食べないんですけどどうしてですか?」と言う質問を貰う。

その度に「爬虫類は寒くなると餌を食べなくなるのでヒーターを使って温度を高めにすれば餌を食べるようになりますよ」と返す。

普通に飼育を楽しむ分にはそれで良い。その方が、冬眠中に死なれると言う事故も防げる物だしリスクの大きい冬眠をあえてするのは危険極まりない行為だと思う。

冬眠とは、ただ寒いから動かない(動けない)と言う単純明快な物ではないと言う。

体温は勿論だが、代謝能力や心拍数や呼吸回数も低下していき、消化器官はストップする。

その他の器官もあまり働かなくなったり止まったりするから催眠状態といおうか仮死状態と言おうか・・どっちにせよ究極の状態になる。

例えば、5℃前後で越冬するトカゲが居たとする。これを真夏にいきなりこんな温度にしたら死に至るだろう。

冬眠は、生体の体内のホルモンバランスと自然の日照時間による光周期や温度変化によって起こる一連の体内リズムによって起こりうる物である。

アオダイショウやシマヘビが秋も深まるころに突然餌を食わなくなったりするのもこれが原因だろう。その証拠に冬眠させて春になると餌を食うようになるのだから(人工下でライトを使って上手いことやったら冬でもガンガン餌を食べそうだ)。

そんな冬眠をさせる必要がなぜあるのか?それを検証してみたいと思う。
良く言われるものが二つ。

・繁殖を狙っていなくても、冬眠させたほうが寿命が縮まないから
これに関しては前から言われているし、書籍にも書かれている。

これを昔、と、ある愛好家さんに聞いた所「これに関してはとても難しい要素を含んでいるのですが、蛇の場合、トカゲより起源が浅いために、元々冬眠能力が無かった個体群が地殻変動等で冬眠せざるおえない環境に来てしまい、後天的に冬眠能力を付けたものもある。

その為、繁殖などに関しても単に季節変化だけで大丈夫な場合が多い」と言う意見を貰いました。

ややこしくて分かりにくいでしょうから、噛み砕いて説明すると、つまり、元々温かいところに住んでいて冬眠する必要が無かった種が後々になって冬眠する能力を備えただけだから生体の寿命に影響することは考えにくいのではないか?と言うことですよ。

蛇はオオトカゲに良く似た形状を持つトカゲから、今のスキンクのようなトカゲに進化(半地中性ですな)からミミズトカゲやアシナシトカゲのような足の無い地中性のトカゲに進化し、そこからメクラヘビのようなヘビへと進化して、ナミヘビに近い形となって地上に出てきたと言われます。

それ故、トカゲより新しいと言えるのです。

 

冬眠のさせ方(ウィンタークーリングのさせ方)
さて冬眠をさせるにあたって必要な条件は、良く太っていて健康な事です。

先ず、冬眠できるような水槽に腐葉土と落ち葉を敷き詰め新鮮な水入れの入ったケージを用意します。

北半球に生息する爬虫類は(日本の場合)冬に、南半球のものは季節が逆なのを考慮して(日本の)夏場に行います。

まず、秋までにしっかり食べさせてしっかりとした体にし、そのまま11月の下旬位まで維持します。

最高気温が20℃を下回るようになってきたら、餌を打ち切り、水だけを与えて個体が冬眠まで排泄物を全て出してしまうようにします。

脱皮しようとしている最中なら脱皮も済ませてしまったほうが良いです。

12月の初旬〜中旬くらいまでに人の立ち入らないことで照明が余り使われず、規則正しく外光によって四季の変化を個体に与えてくれる8〜13℃程の室温の部屋に置き、そのまま3〜4ヶ月間(種によって微妙に違うと思うので、そこは現地の年間気温などを調べて調節してください)休ませます。

この間、20〜23℃と言う中途半端な室温にすると、ヘビは餌を食えず、かと言って眠ることも出来ずで体力が衰えていき痩せていきます。また、明かりや温度を調整するのならバイメタル式のサーモスタットとタイマー連動のライトを装着してもいいでしょう。温度の変化が激しいのならデジタル温度計で確認しつつ大き目の発泡スチロールの中に入れてしまっても良いと思います。

もし、冬眠中に起きてしまったら(10〜13℃くらいだとたまに動いていますけどね)、一度温度を上げて太らせてから
再冬眠させるか、そのまま春まで飼育してしまうと良いと思います。

3月の中旬〜下旬にかけてパネルヒーターなどで一部を保温して徐々に温度を上げて起こします。

目覚めた時に、まず水を飲ませ、いつもより少し小さい餌を与えて弱った胃腸をケアします。時間をかけて通常の餌に戻し、完全に復活したら、繁殖に望んでみましょう。

なお、冬眠中は、小まめに霧吹きして呼吸器官(肺炎等)の疾患の予防に努めると良いと思います。

冬眠中の脱皮と呼吸器官の異常は結構怖い物があります。

ちなみに、我が家では、乾いたら霧吹きし、10〜13℃の保たれた人の立ち入らないような部屋で蛍光灯を付けたりしないで四季の変化に任せて冬眠させてます。時々動いて水入れに浸かったり水を飲んだりしているようです。

ケージには元から腐葉土などが入っていますので、冬眠の為に入れる・・・と言うような事はしていません。


殖させるために発情させる必要があり、その為には冬眠が不可欠だから
先述した仮説が正しいのかそうでないのかは知りませんが、冬眠までしなくても、ウィンタークーリング(低温処理)で季節の変化を味合わせてやれば殖える蛇も多いらしいです。

アジアの蛇(スジオ等)は冬眠と言う形でバッチリ冷やした方が良い場合もあるそうです。

ま、この辺はまだ僕にとっては未開の地なのでこれからタイリクスジオかカナンスジオでやろうと思いますけどね。

 

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